管弦楽法をはじめ音楽の技術的な事柄を学習し、まとめた内容です。
木管楽器の音が聞こえなくなるため、トランペットはクラリネットより高くならないように気をつけましょう。
木管楽器の早い動きのなかに休符を入れるのは軽快さを生み出します。
金管楽器はトランペット、ホルンがほぼ五線内、トロンボーンとチューバは低音部譜表を中心として配置されます。
金管楽器にppを指定するには、かなりの神経を使います。とくに極端に高い音域や低い音域では注意が必要です。
金管楽器全体としては真のピアニッシモを出すことができ、これはオーケストラの価値ある資源です。
弦楽器の重音は、6度、5度間隔の組み合わせがもっとも効果的です。
弦楽器の白玉のラインは過不足なく和音に必要な音を拾い、かつ退屈にならないようにしましょう。
弦楽器で不気味さは低音でのトレモロ、ppまたはpでの高音のトレモロは神秘的な効果があります。
グロッケンシュピールはフレーズで区切って重複したり、アクセント部分のみを重ねたりといった工夫が立体感を生み出します。
トランペットはかなり軽快ですが、速い経過句は書かないほうが良いです。
トランペットは明瞭なスタッカートを作ることができます。
トランペットの低音域は、特に弱奏に向きません。
トランペットとトロンボーンの威勢のいい鋭い音は、ホルンの丸みを帯びた響きと重ねると、とても重厚な響きになります。
トランペットとオーボエのユニゾンはトランペットに辛辣な味と縁取りを加えます。
トランペットはいつも音の強いパッセージばかりを受け持たされているわけではありません。
トロンボーンは三声の和声的結合として処理するのが最も良いです。
トロンボーンのやわらかい和音では、開離位置で低く置かれたものが最も良いです。弦、木管、ホルンのソロに美しい背景を作ります。
トロンボーンの強烈な輝かしい効果を狙うならば、高位置に置かれるべきです。
トロンボーンの高音でのffのユニゾンは圧倒的となり全管弦楽を容易に圧して聞こえます。
トロンボーンの高音はmf以下に音を抑えることは困難です。
トロンボーンは非常に多くの息を必要とするので持続音を書くのは無駄です。
トロンボーンの断続するfかffの和音は特に効果的で非常にリズミカルな打撃的効果を持ちます。
トロンボーンの低域のffは劇的な破壊音で、恐るべきクレッシェンドの力をもっています。
トロンボーンの低域では極度に柔らかい、音を殺したピアニッシモを出すことができます。
トロンボーンの中音は音色の点でホルンにもっとも近いです。
トロンボーンが和声を担い、ホルンが自由に旋律的活動ができるようにすることがあります。
トロンボーンは普通チューバとともに用いられ、四声部を作ったり、バスをオクターブやユニゾンにした三声部和声を作ります。
トロンボーンはチューバとともにバスの線を作ることもあります。
トロンボーンの他の使用例は、対位法的スタイル、平行和弦の多彩なフレーズ、全音域わたる広い跳躍を持ったffです。
チューバは重要な低音経過句を目立たせるのにきわめて有用です。しかし下部オクターブを過重にするため、いくらか控えめに用いられねばなりません。
チューバはやわらかく吹くとホルンと良く結合します。
チューバはトロンボーンに対して独立したベースとして用いられるとき、やや低く置かれるときわめて良い結果が得られます。この場合トロンボーンとの間に大きな溝ができても構いません。
チューバは非常に軽いスタッカートが可能です。
チューバは非常に大量の息を必要とするため、長い保持音はあまり使わないほうが良いです。
チューバの音性の美しさは、中音の柔らかいレガートのフレーズの場合もっともよく示されます。
チューバは敏捷な楽器で広い跳躍は容易に行なわれ、バスの線に興味と変化を与えます。
チューバは金管全部のアンサンブルの低音として行動したり、ひとりで管楽器グループの低音となることもあります。
ファゴットの代役はホルンがつとめることができます。とくにp~mfまで、とても似ています。
ファゴット+ホルンと軽快な弦楽器が交代に伴奏をすると効果的です。
ファゴットのソロは他の管楽器かヴァイオリンでオクターブ重複されることがあります。
ファゴットがフルートと2オクターブ離れて奏するとよく響きます。
ファゴットはトロンボーンとユニゾンで用いるとその輝かしさを曇らせがちです。
ファゴットの低音域は弱奏不可能です。それでなくても弱奏は苦手です。
ファゴットの音階は上下自由自在です。
ファゴット2つとクラリネット2つは四声和声において見事に混合します。
ファゴットの高音域は必ず順次進行で達するようにしましょう。
ファゴットは相当に軽快で乾いたスタッカートは効果的です。弦のスタッカートやリズムを浮き立たせ明瞭にします。
ファゴットはあらゆる種類の伴奏音型に全体の邪魔にならずに用いることができます。
ホルンは全然使わないか、使うとすればいつもペアであると考えてよいです。
ホルンのパートは出来るだけ声楽的な音程や跳躍運動に止めるべきです。
ホルンはオクターブ重複によりオーボエ、クラリネット、ファゴットに輝きを与えます。
ホルンはクラリネット、オーボエと2オクターブの結合を作ります。
ホルンの持続音は響きが薄くなり気味なのを防ぎます。
ホルンの低音域は、あまりよく響きません。高音域は技術を要します。
ホルンのオクターブで奏される旋律は豊かで充実した響きをもっています。
フルートは上行のほうがやさしいです。
フルートの低音は、フルートがユニゾンで奏される場合、かすかなトランペットの音にきわめてよく似ています。
フルートの低音はスタッカートが明瞭ではありません。同一音の反復は中音から高音で可能です。
フルートはオーボエ、クラリネット、ファゴットに輝きを与えます。
フルートの低音とホルンのユニゾンは良好です。
フルートにはいかなる管楽器にも及ばない敏捷性があります。広い跳躍も可能です。
フルート2つで軽い伴奏音型を作ることができます。
オーボエはppが苦手な楽器のため、弱い木管の響きが欲しい場合にはクラリネットを選ぶほうが良いです。
オーボエの軽い音楽における持続音の効果は魅力的です。
オーボエはかなりの軽快さをもち、木管の対話の愉快なパートを奏することができます。
オーボエのスタッカートは非常に効果があり甘美なものです。
オーボエとファゴット、オーボエとホルンのオクターブ重複は卓越した効果があります。
オーボエはユニゾンでクラリネットに力強さと鋭さを与えます。
オーボエとホルンはユニゾンでは混合せず好ましくありません。
オーボエはヴァイオリンの音を貧弱にし、また音を薄く衰えさせがちです。
オーボエは中音域が最もよく響きます。最高音域は演奏が困難です。下行のほうがやさしいです。
オーボエは音を長く伸ばすことが可能ですが、しばしば休む場所を与えてやらねばなりません。
オーボエは2つの密接した音程において、きつい音性を有します。
オーボエを第二フルートの代わりに奏させるのはベートーヴェンが好んで用いた方法です。
クラリネットは非常に軽快であり、アルペジオは最も得意とします。
クラリネットのスタッカート、広い跳躍は良好です。三度または六度の経過句はすぐれています。
クラリネットとファゴットのオクターブ、または2オクターブの距離の響きは非常によいです。
クラリネットとホルンは見事に融合します。
クラリネットを高音、中音の2オクターブの距離に置いたとき良い結果が得られます。
クラリネットの低音とファゴット、またホルンは良く混合します。
クラリネットの中音域は音色が悪く、演奏も困難です。音階は上下自由自在です。
クラリネットの低音域では、反復音の伴奏音型やアクセントを置いたリズム的パターンが非常に効果的です。
クラリネットの低音域と高音域の音色のコントラストのために、あたかも2つの違う楽器であるかのように響くパッセージが考えられます。
クラリネットはほとんど聞こえないくらいのピアニッシモから強い音まで出せます。
クラリネットのトリルとトレモロは素晴らしい効果です。特に低音域の場合そうです。
クラリネットは敏捷性においてフルートに肉迫しています。
クラリネットの伴奏音型は巧みに編まれて広く用いられています。
全管弦楽において、和音の本質的でない音は金管群から除くように注意しなければなりません。木管はすでに金管にある音をただ重複させるだけに用いることができます。
全管弦楽において、クラリネットは非常に高いトランペットのパートを重複してよい結果が得られます。
全管弦楽において、木管と金管を結合して輝かしい音を得るにはフルートとクラリネットは高く、オーボエは中音に、ファゴットは低音に置きます。中間の大きな溝は金管で埋めます。
全管弦楽において、弱い楽器に独立したパートを与えることは実際に聴くことができないばかりでなく、構成の明確さを壊してしまいます。
全管弦楽において、二つの旋律線のために全く同じ楽器群を用いることに甘んじてはなりません。
全管弦楽において、ポリフォニックな音楽では、和音の混濁を生ずる声部の交差の起こるような内声のオクターブ重複を用いてはなりません。
木管とホルンの充実和声の継続はハーモニウムに似た重苦しい感じを与えます。
ヴァイオリンがオクターブ高くフルートで重複されると非常によい効果をあらわします。
ヴァイオリンとホルンは融合性を欠きます。
ヴィオラは大部分の管楽器と非常によく融合します。クラリネットとユニゾンで最も良く融け合います。
ヴィオラにフルートをユニゾンで加えると音に丸みを与えます。
ヴィオラ、フルート、オーボエ、クラリネットのユニゾンは力強くめざましいです。
ヴィオラは手の込んだフィギュレーションよりも、歌うような旋律に適しています。
ヴィオラのディビジした声部が木管と組み合わされている例は多いです。
ヴィオラはチェロより軽いバスを担当したほうがよい場合があります。
チェロをゆっくり表情的に動くテナー音域の経過句に加えるとpまたはmfで非常に美しい音質を作ります。
チェロの高い旋律にオーボエを加えると非常に鋭くなります。
チェロとオーボエのオクターブ結合はpまたはppで非常によいです。
チェロとフルート、クラリネットとのオクターブ結合はあまり良くありません。
チェロは5声部の経過句で独立したパートが必要です。半分はコントラバスとユニゾンもしくはオクターブで重複します。
チェロのトレモロは特に神秘的な性質をもっています。
チェロのパートにはオーケストラ全体に活動感を与えるための音型が置かれることがあります。
コントラバスはチェロと重複するか、そうでないときは多く沈黙します。
コントラバスは、ほかの声部から離れた高さにあるときは持続された音かペダル音であることが望ましいです。
コントラバスのピチカートをレガートで奏するファゴットと重複することができます。
コントラバスは下部オクターブを過重にするため、いくらか控えめに用いられねばなりません。
コントラバスは、しばしば2つのパートにディビジされます。狭い音程は劇的な、予感的な暗示を与えます。
コントラバスの保持音は全ての楽器を結び合わせ、伴奏が乾いたものになるのを防ぎます。
スタッカートの和音の場合は、音色の混合を計算するより、いちばんよく出せる位置に置きます。
伴奏が非常に手が込んでいても、弱い音で奏される旋律を完全に聞き取れるように作ることができます。これが管弦楽の透明さといわれるものです。
特殊な効果のために、2個の楽器を2オクターブ、ないしそれ以上離して奏させることがあります。
響きを2オクターブに広げることによって音は豊かになります。さらに中央の声部を抜くことによって宙に浮いたような印象を与えます。
オーケストラに対する本能的な感覚を身に着けるには、そのとき演奏していない楽器の存在をたえず意識することです。
管弦楽のバスの90%はチェロとオクターブで奏するコントラバスによって行われています。チェロが他のことをやっている場合は、ファゴット、ホルン、ヴィオラなどでオクターブ重複されます。
同じ役割を持つラインを重複する場合でも、パートによって少しずつ変化を与えることで、そのパートの存在を尊重することになります。
一定の単調さを避けるために、オクターブ上か下に旋律線を移します。
呼吸が感じられない音楽は、聴く人を息苦しくさせます。
希薄さを避けます。バスとその上のパートとの間の広い間隔は、特殊な場合のみ許されます。
オクターブ離れた反行のフレーズは効果的です。
バスペダルポイントは音が動き出すまでの期待感を高め、動いたあとの開放感や安堵感を生み出します。
曲のエンディングでは、これまでの曲中であらわれたフレーズやモチーフをうまく織り込みながら、できるだけ印象深く、楽曲の余韻を残すように工夫します。
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